俺はきっと、この出会いを恋と呼ぶのだろう。

2

「まだ寝てるの?遅れるよ」

学校が休みの日、それでも母親の声で起こされる。
部活をやってない俺は、平日の何日か、そして土日の多くをバイトに費やしていた。

目を開けると、もう昼を回っていた。

「やべ」

思い身体を起こし、急いで着替えを始めた。
ボサボサの頭で、洗面台の前に立つ。

鏡には、見慣れたやる気のない顔がある。
冷たい水を頭からかぶり、そのまま顔を洗う。

寝癖をなおしながら、歯磨きをする。

「ご飯はいいの?起きたらご飯ぐらい食べなさい」

横から、母親の声が響く。

「ふgふぉどck」

歯磨きをしながら、言葉にならない返事をする。
休みの日でも、あまり変わらない朝だ。

何かをぶつぶつ言ってる母親を横目に、俺は逃げるように家を出る。
入学の時にもらった腕時計を見る。

「なんとか間に合うな」

そうして、俺は自転車に跨った。
バイト先までは、約15分。

中学までは、遊びに行くだけだったショッピングモールだ。
その中にあるお店の一つが、俺のバイト先だ。

漬物からお米、地元の特産品なんかを扱うお店だ。
レジをやりながら、搬入される商品を運んだり、並べたりするのが俺の仕事。

駐輪場に着いた時に時計を見ると、もうバイト10分前だった。

「間に合った」

よしっと小さくガッツポーズを取ると、そのままバイト先に走った。
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