イケメンを好きになってはイケません⁈
 ポケットを探ると、5百円玉が2枚と十円数枚。缶ビールとつまみぐらいなら買えるか。

 おれはのろのろと立ち上がった。
 
 ああ、じわじわとつらい気持ちが増してくる。

 失恋したんだ、おれ。
 本当に好きだったんだけどな。
 彼女のこと。

 酒でも飲まなきゃ、今夜は眠れそうにない。

 ドラッグストアで買い物を済ませ、マンションの前に立ち、見上げた。
 5階の彼女の部屋のあたりを。

 カーテンから明かりが漏れている。
 聡子さん、今頃、彼氏と……
 腹の底からむらむらと嫉妬心がわきあがる。

 悔し紛れにレジ袋から缶ビールを出して、その場で煽った。

 ビールの苦みが少しだけ冷静さを取り戻してくれた。
 
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