イケメンを好きになってはイケません⁈
「いい匂い」
 ちょうど用意ができたころ、森下くんはキッチンにやってきた。

 寝ぼけた森下くん、なんか可愛い。
 まだ、目が半分開いてない。
 それに子どもみたいな大あくびしてるし。
 朝、弱いんだ、本当に。

「なあ、今日、会社行ったら一番でみんなに言いたい。おれたち、付き合うことになりましたって」
トーストを食べながら、彼は言い出した。

「えっ、だめだよ。それは」
「なんで? 言いたいじゃん。黙ってるのなんて無理」

 わたしはそれだけはやめてと、頼み込んだ。

 それにともなって起きる数々のごたごたを考えると恐ろしすぎて、次の日から会社に行けなくなる。

 どう考えても森下ファンの面々が納得するとは思えない。

 部内一、地味で問題外だったわたしが、森下王子と付き合うことになったなんて言ったら。
 
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