溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。



「ひさしぶり」

「僕も」



有名なアイスのチェーン店,1year(ワンイヤー)

店名は,一年中違ったアイスを楽しんでほしいという理由からつけられたらしい。

アイス屋さんだからなのか,店内は少し涼しいような気がした。



「真理,2個食べれる? それとも3個?」



3個は,食べれない。

2個は……

ちょっと微妙。



「1個。でも,凪のチョコチップもちょっとちょうだい」



私が決めると,凪は笑った。



「僕,まだ何も言ってないよ」

「えっ違うの?」

「ううん,合ってる。じゃあその代わり,真理のストロベリーもちょうだい」



凪は笑ったまま,私の頼もうとしていたアイスを当てた。



「……いいよ」



沢山のフレーバーの中で,どちらもスタンダードなアイスを選ぶ。

お互いの好きな味くらい,言い当てるのはわけもない。

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