桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。
*
昨日『今日啓汰と二人で出かける』と、美桜からメールが来た。俺は大人の余裕を見せるような簡単なメールを返した。その後、美桜からの返信はなく、やきもきする羽目になった。
夕方になり、美桜が心配でアパートの前までやって来てしまったが、どうすれば良いのか分からず、すでに10分ほど時間が過ぎようとしたいた。それでも玄関の前までやって来た俺は、玄関のインターホンを押すか、押さないかを悩み、手を上げ降ろしたりを何度も続けた。部屋の電気が付いていることから、もう帰って来ているのだろう。それならこのまま帰ろうかと思っていると、勢いよく美桜の部屋の扉が開いた。そこから出てきた啓汰は蒼白な顔をしていて、中で何がおきているのか心配になった。部屋から飛び出して来た啓汰は、俺に気づくと視線を逸らし走り去っていった。
俺は啓汰が飛び出して来た扉を開き中に入ると、あられもない姿の美桜が呆然と立っていた。
あいつ……美桜に何をしやがった。
俺は玄関で靴を脱ぎ捨てると、美桜を抱きしめた。
「美桜大丈夫か?何があった?」
優しく声をかけると、ようやく俺の存在に気づいたのか、美桜がぽろぽろと涙を流し始めた。
「正悟さん……正悟さん……正悟さん」
何度も俺の名前を呼び、震える美桜の体を俺は強く抱きしめた。
「正悟さん……私……」
「チッ」
泣きながら俺にすがってくる美桜に俺は舌打ちをした。そんな俺の舌打ちに驚いた美桜が肩を振るわせた。
違う……お前を拒絶したわけではない。
その逆だ。