この政略結婚に、甘い蜜を

「謝って、きちんと説明しよう。そうしないとダメだわ」

自分に言い聞かせるために声に出し、何度も深呼吸を繰り返す。すると、荒れていた心の波が少しずつ凪いでいくのがわかった。華恋は閉じていた目を開け、歩き出す。

（許してもらえるかわからないけど、このまま逃げてしまえば零さんとの間に壁ができてしまう気がする……）

華恋が覚悟を決めて公園から出ようとした刹那、「お姉さん、こんなところで何してるのぉ？」と言う声と共に見知らぬ男性たちに取り囲まれてしまう。

「めちゃくちゃ可愛いじゃん！」

「ラッキー！今日はついてる！」

そんなことを話しながら男性たちはニタニタと笑い、華恋を値踏みするかのようにジロジロと見ている。派手なスーツを着た人相の悪い男性に囲まれ、華恋の体が恐怖で震え始める。

「あ、あの、家に今から帰るので通してくれませんか？」

華恋がそう懇願するも、「いやいやせっかくだしもうちょっと付き合ってよ」と言われてしまう。華恋が震える手で胸元を掴むと、一人の男に「あれ〜？」と言われながらその手を捕らえられる。