この政略結婚に、甘い蜜を
華恋が言い終わる前に、華恋の体は零の腕の中に囚われてしまう。強く抱き締められ、華恋の耳元に熱い吐息がかけられた。思わず華恋は身を捩ってしまう。

「……そんなの、僕だって同じだよ。華恋は可愛いから、男に言い寄られたりしないか」

「零さん……」

二人の体が離れたと思ったその瞬間、華恋の体は壁に押し付けられてしまう。目の前には零がおり、逃げられない。

「お互いに虫除けしておこうか」

零はそう言った後、華恋の唇を奪う。何度も唇を重ねた後、ボウッとしてしまう華恋の首すじに零は唇を落とした。刹那、微かな痛みが走る。

「えっ、零さん!?」

華恋が鏡で確認すると、そこには赤い印が付けられている。赤くなってしまう華恋に零はまた唇を落とし始めた。口から声が漏れ、慌てて華恋は手で口を押さえる。

「零さん、これじゃドレスが着れません……!」

いくつも赤い印をつけた華恋が真っ赤な顔で零を見ると、彼は満足そうに笑ってしゃがみ込む。

「ほら、次は華恋が僕につけてよ」
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