この政略結婚に、甘い蜜を
零はブツブツ言いながら華恋をさらに強く抱き締める。まるで離さないと言わんばかりに締め付けられ、華恋は少し苦しくなってしまった。

「れ、零さん……」

華恋が背中を叩くと、零は「ごめん」と言いながら華恋を離す。だが、華恋の手は零の手に包まれて離れない。

そのまま華恋と零はテーブルに再び戻り、零が椅子を引く。華恋は少し恥ずかしさを覚えながらも零が引いてくれた椅子に腰かける。そこへ、二人がそれぞれ頼んだオムライスとローストビーフが運ばれてきた。

「あの、お義父さんからの電話って何だったんですか?」

仕事ならすぐに帰らなくてはならないのでは、そう思い華恋が訊ねると、零は「今すぐ戻らなきゃいけないってことはないよ」と華恋の心を見透かしているかのように微笑む。

「今月末に開催されるパーティーに出席してほしいっていう話だよ。華恋、もしよかったら一緒に出席してくれないかな?」

華恋の心臓がドクンと音を立てる。パーティーなど、もう十年近く出席したことがない。
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