この政略結婚に、甘い蜜を
「京都より東京の学校の方がレベル高い言われたから来たんやけど、しけた面ばっかやな。これやったら京都の方がレベルいいで」

クラス中に不穏な空気が走る。女子はポカンと口を開け、男子は「何だあいつ」と怒りを滲ませている。担任の先生はオロオロしている中、傑は続けた。

「あっ、必要最低限以外話しかけてこんどいてな。お前らみたいな底辺と仲良しこよしする気は一切あらへんから」

その言葉にクラス中の反感を買った彼は、誰からも話しかけられることがなく、華恋のクラスメートの一人となった。最悪なことに、傑の席と華恋の席は近い。

(何で、こんなクラスにいる人たちを見下すような嫌な人の近くなの!?)

華恋は心の中で「最悪だ」という言葉を繰り返す。最低最悪な形で「初めまして」を終え、傑の周りに集まる人など一人としていなかった。

(あんな人と関わりたいなんて、誰も思わないよね)

華恋も一人で読書をする傑には目も向けず、友達と楽しく話をして日々は過ぎていった。
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