【短編】色褪せない夢


私がいた頃の総長は深海 大翔(フカミ ダイト)。

あまり親しくない人から下の名前で呼ばれるのが嫌いらしく、学校の人は大抵「深海くん」って呼んでたけれど、

私や幹部のみんなだけは「大翔」って呼んでた。

冷沙の仲間の中でも、割とよく喋ってくれた子達はみんな「大翔さん」って呼んでた気もする。

今はすっかり茶髪に落ち着いたけれど、現役時代は金髪がトレードマークだった。


仲間達から聞いた話によると、前の代まであまり強くないチームだったらしく、
その中でもとりわけ強かった大翔が中学3年生の頃に、その頃の総長とのタイマンで勝利して総長の座についたという。




「お前は今日から冷沙の姫だ、拒否権はない」

課外授業で行った1週間の農業体験の最終日にいきなり告げられた。それも副総長だという、青髪の瑞樹(ミズキ)に。

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