【短編】色褪せない夢


「まーた考えごと?」

そう言いながら隣に座った茶髪の彼は、右手に麦茶、左手におにぎりを持っている。


つい2週間前にやってきた彼
深海 大翔(フカミ ダイト)
は、みんな手のひらを返していく中で
最後まで私をまっすぐ信じてくれた
大切で、大好きだった人。

冷沙の元総長さん。


「私がもっと強かったら、って」

「どこにいても、俺が見つけるよ」

今にも消え入りそうな声で呟くと、彼はそっと肩を抱き寄せて力強く続けた。


「今度こそ離さないから、一緒に帰ろう」




夏の終わり、秋の始まり
この季節になると、いつもあの日を思い出す。

私がまだ幼い子供だった高校生の頃の物語。


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