明日はきっと、晴れ。

Rei.

side_麗


朝7時。
目を覚ますと自分の部屋にいて、
リビングへ行けば校長とひかりんがくつろいでいた。

「おはよう」
そう声をかけるとひかりんが飛びついてきて、
校長が目尻に皺を寄せて2人まとめて抱き寄せてくれる。


彼らはわたしに無償の愛、
家族としての愛を教えてくれる。

「今日は金曜だから俺も倉庫行けるぞ」
「わたしだって行けるわよ」

校長が嬉しそうに言ったのに張り合うようにひかりんもわたしを抱きしめる腕を強めて言った。

わたしが校長とひかりんに出会ったのはわたしがまだ10歳になる前の頃。

わたしは生まれた頃から施設で育てられていた。

両親は、顔も名前も知らない人。

それなりにすごい人らしくて、施設の人はわたしを腫れ物を触るように扱った。


学校には行かせてもらえず、常に施設の中で隔離されて育った。

家庭教師をつけられて勉強を叩き込まれたおかげで2人と出会う頃には東大レベルの学力は持っていたと思う。


わたしにとってはそれが普通だったから1人でも、何でもよかった。

時々施設の子と関わる機会はあったけど、
みんなよそよそしくて顔見知り止まり。


それまでわたしのことを管理していた施設長が病気で入院を余儀なくされ、
新しい施設長がやってきたときに、全てが崩れた。

崩れた、というより崩された。
いい意味でも、悪い意味でも。

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