俺の世界には、君さえいればいい。
「私もいつも絵馬はあまり書かないから…書きたいな、」
そんな純粋な返事に、ちょっと罪悪感はあった。
俺たちと変わらない歳から20代の若い男女で溢れている場所には、それ相当の目的があるからだ。
けれど、そこにいる男女のほとんどがカップルだと知っているのは俺だけ。
そう、これが縁結びの神社の真骨頂。
そのハート型をした絵馬に名前を書いた2人は永遠の愛で結ばれる───なんて言われていて。
「あれ…?これは2人でひとつなの…?」
「あっ、はい、そうみたい…です」
「そうなんだ…。変わってる絵馬なんだね」
いつかに俺があまり関わりたくない(嫌い)由比さんの友達が言っていたような気がする。
『かなのが鈍感で良かったね』って。
それを今になって痛感するとは……。
「櫻井くんは名前だけ…?お願い事は書かないの…?」
「えっと、これは名前を書くだけで、あとは祈ればいいっていう…絵馬らしくて、」
「そうなんだ…!」
そういうのもあるんだね───と、笑顔で言ってくれるところに罪悪感がまたひとつ。
だから由比さんも俺の隣に名前だけを書けばいいんです。
俺がどんな顔をしてその言葉を言ったかは、考えないでおく。