俺の世界には、君さえいればいい。




「だって手紙に書いたでしょ!これから2人のときは名前で呼ぶねって!」


「…カップケーキ、うまかった」


「えっ!ほんとに食べてくれたの!?」



ごめん、かなの。
あたしちょっとだけ嘘ついた。

本当はね?

丹羽先生にはまだ振られてなくて、バレンタインは無理やりにでも渡したんだ。


まぁ、あたしの一方通行な片想いではあるけど…。


だってあそこでああ言わないと、かなのが何も話してくれないと思ったから。

だからちょっとズルいことしちゃった。



「貰っちまったしな。捨てるわけにはいかねーだろ」


「……丹羽くん、すき」


「…会話な、会話は大切にしような?」


「うん、すき」



もう好き。
こんなの伝えたもん勝ち。

先生と生徒なんか禁断だし、あたしだってわりと現実思考。

応えてくれるはずないってことは分かってるもん。


だから今だけでも楽しみたい。

初恋ではないから叶うんじゃない?なんて期待もこめて。



「…だったら他の男とふたりで長々と話すってのは、どういう了見だ?」


「っ、えっ、見てたの…!?」


「……まぁ、たまたま通りかかって」



あれ…、ちょっと顔逸らした…?

なんかうしろめたいことでもあったり…?



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