俺の世界には、君さえいればいい。
これはゆっくり、私たちのペースで呼んでいければいいね。
これからもっともっと私は櫻井くんの可愛いところを知っていける気がするから。
格好いいところは…もう十分だ。
これ以上増やされると逆に困ってしまう。
「かずえ、くん…」
「っ…!」
「ふふっ、主計くん…」
少しでも離れようとした自分が馬鹿みたいに思えた。
彼は私をちゃんと見ようとしてくれている。
それなのに逃げてしまっていたのは私だったんだって。
「わっ、櫻井くん…?」
すると、ふわっと頬に伸びてきた手。
私より大きくて、それでも繊細で、骨ばっているのに柔らかくて温かい。
そのまま彼の顔は私に近づいてくる。
「さ…くらい、くん、」
これって、これって───…。
どこかで止めないとだめな気がする。
櫻井くん?って、もう1度呼びたいのに呼べなくなってしまって…。
「あれ?櫻井?まだ帰ってなかったのー?」
「っ───!!」
バッ!!と、お互いに離れた。
目をぎゅっと閉じてしまってた……。
それは確実に私がその先を待っている動きで。