ノート
ノートに書きたかった。苦しい、とか、あいつはわけがわからんとかそんなんで良い。
おかしくなりそうだ。
でも読まれているんだった。
そしてそれを目の前で読み上げるだろう。部屋に、なんで居るんだ?あれ?
「まだあるよ。他にも沢山、俺に話しかけてくれた。だからきみが好きにな――」
「気持ち悪い幻想をいだくのはやめろ!」
俺の心を、お前の名前にしないでくれ。
「なんで? きみ、今、フリーでしょ」
「好きな、やつは、居る……」
なんで、こんなやつに話しているんだろう?
体勢を直して、背中を軽くはらってから、目的もなく前へ歩く。
ざっ、ざっ、と、靴が擦れるわずかな音がした。
「きみだけが、きみだけが、友達のいない、俺の……」
「俺は、友達を作ると傷つけるだけだから作らない。いないことを、恥じたりはしてない」
はっきり言うと、男のまとう空気が、黒くなったような気がした。
まあ気のせいだろう。
「そうやって、強がっちゃって……」