跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
翌朝、不安な気持ちを微塵も出さないように装いながら出勤した。

ここ最近、復刻版タンブラーを販売したのに伴って、ギャラリーの客足も直実に増えている。粉引きのものは世代を問わず人気が出るはずだとの予想は見事に当たり、こういう素材のほかの商品はないかと、二十代、三十代ぐらいの女性に数回声をかけられた。

狙い通り、若い世代にも加藤の商品が浸透しつつある。それを見越して製作したほかの粉引きの商品を購入する人も、少しずつ増えている。

関心を持ち続けてもらうためには、毎月一色ずつ違う色の商品を発表するのも効果的だろうと、新たな案が浮かぶ。早速その提案ができるように、帰宅後も企画書の作成にいそしんだ。

本当は少しぐらい残業してでもやっておきたかったのだが、退勤後に婦人科の受診を予定していたため持ち帰りとなったものだ。

ひとりでこっそりと通院したところ、間違いなく妊娠していると診断された。散々頭を悩ませて不安になっていたというのに、医師に告げられた途端に自分でも驚くほど幸せな気持ちに満たされた。

当分は子どもの存在を隠さなければならないことが心苦しいが、同時に新しい命の存在が私を強くしてくれるようだ。その心意気のまま、体調に気を付けながら遅くまで仕事をしていた。

< 127 / 174 >

この作品をシェア

pagetop