跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
心のつながりと体のつながりは、別物ですか?
ふっと目を覚まして、体にまとわりつく違和感に首を傾げる。

「は?」

背後から腹部に回された逞しい腕の存在に気づき、何事かと動揺する。そのままそっと振り返ると、すでに起きていたと千秋さんと視線が絡んだが、思わずそ知らぬふりをする。

ごまかすように辺りを巡らせた視線を、最後に自身に向ける。必然的に千秋さんの様子もチラリと見えたが、ふたりともシャツだけとずいぶん薄着だ。私が身に着けているのは、たぶん千秋さんのものだろう。

「体は大丈夫か?」

「え?」

混乱のさなかに降ってきた彼の言葉を、ゆっくりとかみ砕く。体と言われて再び自身を見下ろして、下着をつけていないと気づいてうろたえた。

私、昨日千秋さんとしたんだ。
羞恥で真っ赤に染まっているだろう顔に、手を当てながら身悶える。この服を自分で着た覚えはないから、おそらく彼に着せられたのだろう。寝ている間にいろいろと見られたという事実に、もう彼と目が合わせられそうにないと顔を覆った。

それなのに、千秋さんは容赦なく私の体を反転させて私の手をどけてしまう。

「辛くないか?」

ただでさえ近い距離から覗き込まれて、私の視線は定まらない。

「だ、だいじょう、ぶ、そう、です」

カタコトになんとか答えている間、彼の手は私の髪をなで続けている。その甘すぎる空気に耐えられなくてうつむいた。

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