桜が咲く頃に、私は
I’ll Like It
「いたた……やっぱネカフェは身体が痛くなるわ。全然休んだ気がしない」


「だから、大人しく広瀬の家に泊めてもらえば良かったのに。あ、そう言えばあんた、連絡先交換したんだっけ?」


学校の教室で、まるで昨日のことが夢だったかのように、いつもと変わらない日常。


私の頭の上に、一つ減った「179」という数字があるだけで。


それと……。


「あ、あの……桜井さん、お、おはよう」


嬉しそうに私に話し掛けて来た広瀬琥太朗。


いつもと違うのはこの二つくらい。


「ああ、うん。おはよ」


私が頬杖を突きながらそう言うと、広瀬はちょっと嬉しそうに自分の席に向かった。


「うん。おはよ……じゃないっての。早春、あんたさぁ……どうすんのよあれ。広瀬、嬉しそうにさ。あんた、半年後には死んじゃうんでしょ?」


「……翠さぁ、私と広瀬が半年持つと思ってる? それまでには広瀬が私に幻滅して離れて行くっしょ。だから……問題なし」


クラスの男子に弄られる広瀬をぼんやりと眺めながら、ため息混じりに呟いた。


広瀬はきっと、私の内面まで知らない。


可愛いかどうかは置いといて、私はきっと広瀬好みの外見なだけなんだと思う。
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