桜が咲く頃に、私は
「え? ちょ、夢ちゃん?」


「へへ。一緒に寝てもいいですか? さっき、早春さんがお兄ちゃんと一緒にいた時、お母さんを思い出して……嬉しくて」


「あ、ああ、そう。まあ、私はどんな過酷な環境でも眠れるから気にならないけどさ」


初めて会った、それも私なんかに懐いてくれてるのが少し嬉しくて、夢ちゃんに布団をかけ直した。


「……お母さんがいるみたい。安心する」


余程疲れていたのか、笑顔で呟いてしばらくしたら寝息が聞こえて来た。


お母さん……か。


きっと、空と夢ちゃんのお母さんは、二人を養いながら家事もこなす凄い人だったに違いない。


お父さんがいない時に男を連れ込んで、やりたい放題やって、家庭を取り繕っていただけのうちのお母さんとは雲泥の差だな。


中学三年生の夢ちゃんはお母さんがいなくなって、家族を支える為に頑張ってるんだね。


私は……中学三年生の頃に家を飛び出して、それ以来帰らずに放浪生活を繰り返している。


温かい家庭だったから、こんなにも真っ直ぐに育ったんだろうな。


もしも、うちもせめて普通の家庭だったら……私は少しくらいマシな人間になっていたのかな。
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