桜が咲く頃に、私は
私の匂いを嗅ぎながら、数分すると面白いように眠る夢ちゃん。


その後、布団を抜け出して隣の部屋に行くと空が窓の外を見ながら待っている。


「……夢ちゃん、寝たよ」


「ああ、ありがとな。夢を寝かしつけてくれて」


「なんだよ、空にそんなこと言われるとは思わなかった。あんたさ、いつも夜空を見て、何考えてるわけ?」


空の横に座って、私もいつものように窓の外を見る。


「……人は死んだら星になるとか、小さい頃に聞かされててさ。でも、俺達が行った場所は雲の上だったよな。あの長い階段の先にさ……何があるのかなって」


「あの天使は、天国だって言ってたよね。私達は後四ヶ月……てか、この調子じゃそんなに持たないね。私も空も」


空が「130」で、私が「134」。


この生活を初めてひと月しか経っていないのに、もう50近くも余命の数字が減ってしまった。


幸せを全く感じなければ180日生きられたのに、思ったよりもそれは難しい。


改めて減った数字を見ると、少しずつ焦りが生まれて来る。


「てか、あんた減りすぎだよ。私の方が少なかったのに、なんで私より少なくなってるわけ? そんなに充実した毎日送ってるわけ?」
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