桜が咲く頃に、私は
「ギャハハハハッ! まだ柔道部に付き纏われてるのかよ! 大人気だな南山!」
「モテてるって言ってくれない? 悪い人達じゃないし、私は良いけどね。てか最近ますます豚足ぶりに磨きがかかってるよね。てか、前足をテーブルに乗せるのやめてくんない? 行儀悪いよ」
「誰がブタだよ! 顔にヒヅメの跡を付けてやろうかこの野郎!」
私が死ぬまではよく行っていた某バーガーショップで騒ぐ深沢達を見ながら、私はドリンクだけ注文して時計をチラチラと気にしていた。
昔は私と翠の二人だけで、口数も少なく落ち着いて食事していたのに、今は深沢だけじゃなくて取り巻きの佐藤と山田もいるから賑やかだ。
「どうしたの桜井。時計ばっか気にしてさ。もしかして今日は広瀬とデートだった?」
その山田が、私の様子に気付いて不思議そうに尋ねた。
「デートじゃないよ。明日さ、知り合いの誕生日だから、今日は誕生日プレゼントを買いに行く予定なんだよ。で、時間になるまで待ってるわけ」
実は私も、昨日まで知らなかったんだけど、明日は夢ちゃんの15歳の誕生日なんだ。
一学年私の方が上だけど、誕生日がまだ来ていないから少しの間だけ、夢ちゃんと同い年になる。