双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「なにこれ……。誰がこんなことを」

込み上げてきた恐怖に言葉が震える。

封筒の中に入っていたのは、数枚のカッターの刃。明らかに私に対する憎悪を感じた。

もしかして……?

頭に浮かんだその人物の顔を必死に打ち消す。

蒼斗さんのお父さんの顔が思い浮かんだのだ。

蒼斗さんはあんな風に言っていたけれど、本当は私とのことを許す気がなくて、嫌がらせをしているのでは?

そんな疑念が強くなるばかり。蒼斗さんに相談すべきなのかな。

家のことなど手につかなくて、玄関に座りぼんやりと考え込んでいた。ふと携帯に時刻が目に入り、こどもたちの迎えの時間が迫っていることに気が付いた。

とにかく今はふたりを迎えに行かなくては。

プルルルル……

立ち上がろうとしたその瞬間、手に持つ携帯が震えた。ディスプレイを確認するとそこには、仁紀の文字が表示されていた。

「もしもし?」

仕事中に仁紀が電話をしてくることは珍しい。
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