双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
家に帰ってしばらくすると、事件を聞きつけた蒼斗さんが血相を変えて病院から飛んできた。

「柚希、電話に出ないから心配だった。大丈夫なのか?」

仕事に支障がでるといけないので、蒼斗さんには夜に帰ってきてから話そうと思っていたが、どうやら西谷さんが報告したようだ。

「ごめんなさい。携帯を見ていませんでした。西谷さんが守ってくださったので、ケガもないですし大丈夫です」

これ以上心配をかけたくなくて、精いっぱいの作り笑いを浮かべる。

「無理して笑わなくていい」

ギュッと私を抱きしめるその手が震えている。

「どんな手を使っても必ず犯人を突き止める。柚希をこんな目に遭わせたやつを絶対に許さない」

蒼斗さんの怒りに満ちた声が耳に届き、私を抱きしめる腕の力がより一層強くなったのが分かった。

蒼斗さんは、そのあと病院には戻らず一緒にいてくれた。

ふと時計を見上げれば、子供たちの迎えの時間が迫る。
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