双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
次の瞬間、顔を真っ赤に染めた父が勢いよく立ち上がったことに驚き、慌てて口を挟んだ。

「お、お父さん! 蒼斗さんはなにも悪くないの。別れたあとに妊娠が分かって、私が彼に内緒でふたりを産んだの!」

普段穏やかな父だが、今回は事が事のだけに蒼斗さんに殴りかかるのでは、と内心ひやひやした。母も父の腕に手をかけて〝落ち着いて〟と、宥めながら父を見つめる。

ちらちらと父の顔色を窺えば、父はなにかを考えこんでいる様子。

しばらくするとふーっと息を吐き、その場に再び腰を下ろした。

「先生、顔をあげてください」

父の声は動揺からか震えている。蒼斗さんがゆっくりと顔を上げると、宙でふたりの視線が交わった。

「鳴宮先生は医者としてとても素晴らしい方だ。先生に命を救ってもらったことには心から感謝しています」

父が言葉を選びながら、静かに自分の想いを語りだした。父の口からなにが語られるのか予測がつかなくて、緊張から高鳴った心音は落ち着くことを知らない。
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