セカンドマリッジリング ―After story—


「どうぞ、これ私が作ったのよ。お菓子作りが趣味でね、口に合うと良いんだけれど」

 そう言って美海(みなみ)が二人の前に出したワッフルは、店で作られたものかと思うほど綺麗に焼けている。添えられたバニラアイスとブルーベリーのジャム、とても美味しそうだ。
 飾り付けも丁寧で、花那(かな)は食べるのが少しもったいなく感じてしまう。

「美海さんのお菓子は本当に美味しいから、花那も遠慮せず食べてみるといい」
「あ、はい。で、その前に……一枚だけ写真を撮らせてもらってもいいですか? とても素敵だから」

 そう言った花那の顔を美海はキョトンとして見たあと、大きな声で笑い出す。かわいい顔をして、意外と豪快な笑いかたをする美海に呆気にとられていると……

「いいに決まってるわ、そんなことで申し訳なさそうな顔をしないで? 私は花那さんと仲良くなりたいんだから遠慮は要らないわ」
「はい。ありがとうございます」

 独身の頃は母や借金のことで頭が一杯で、まともに友達付き合いもする余裕はなかった。結婚してからは時間はあったが、契約結婚と言うこともあり最低限の近所付き合いに留めていた。
 花那がこうして他人から仲良くなりたいなどと言われるのは随分久しぶりのことだったのだ。

「緊張しなくていい、先輩も美海さんも花那に良くしてくれるはずだ。君には二人と仲良くなってほしいと思ってる俺の信頼している人たちだから」
「……だから私をここに連れてきてくれたのね。それは嬉しいわ、颯真(そうま)さん」

 いまだ颯真以外の人と親しくなれずにいた花那を心配していたのだろう、颯真なりに彼女に寂しい思いをさせないよう考えていたようだ。


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