セカンドマリッジリング ―After story—
だがこうやって逃げているだけでは問題は解決などしない、それは花那も颯真も分かっていることだった。
居場所が不明になった程度で諦めるような家族ではないことを颯真は痛いほど知っている。きっと颯真の兄である涼真の事も、ああ言いながら水面下でしっかり調べているに違いない。
……ようは、颯真は涼真がどうしても帰らなかったときのための保証にすぎない。それで少しは両親が安心出来るという、それだけの理由で。
それでも涼真に対する母親の依存は尋常ではい、それを見てきた颯真はこのまま自分が兄の代わりになれば済むとも思えない。両親と妹が自分等より劣っていると決めつけて、花那に何かをしでかす可能性だってある。
……想像すれば、それだけで颯真は気が気ではなくなりそうだった。
「これから、どうするの? ずっとこのままって言うわけにはいかないでしょう?」
「兄さんを……探そうと思う。兄の望む事ではないのかもしれないけど、俺はちゃんと彼から話を聞きたい」
そう言った颯真に花那は小さく頷いて見せる、彼女も同じ考えだったのだろう。いま下手に両親や妹の真由莉を刺激するのは、二人にとって良い結果にはなりそうにない。それならば、まずは今回の発端である兄の涼真から話を聞くこと。それを優先するのが良いと思われた。