セカンドマリッジリング ―After story—
「俺が深澤家の次男でなければ花那にこんな嫌な思いをさせることも、今日のような危険な目に合わせることも無かったはずだ。君の夫が俺じゃなければと、考えなかったわけじゃない」
「……だから?」
優しい颯真ならば花那があのような状況に置かれてしまったことで自分を責めないわけがない。だからと言って、自分たちの繋がりを否定はして欲しくない、花那は祈るような気持ちで彼の言葉の続きを待った。
颯真にもそんな花那の緊張が伝わったのか、その表情は真剣そのもので。一言一言を自分に言い聞かせるように、ゆっくりと話し始める。
「だから、なんて続けられなくて悪い。それでも……俺は花那じゃなければ駄目なんだ。いまさら離してやれない、これから先も君だけは」
「颯真さん、私も貴方と同じ気持ちだわ」
予想していた言葉と違う、熱の込められた言葉に花那は大きな喜びを感じていた。彼女が颯真を必要だと思うように、彼も花那を誰よりも必要としている。他の誰かでは絶対に駄目だと、心が……本能が告げているのだから。
ベッドに横たわっていたはずなのに、いつの間にか二人は身体を起こして抱きしめ合っていた。これからどんな未来が待っていようと、自分たちの選ぶ答えは決して変わらない。
……そう、互いにその心に誓って。