「affair」
美織さんとは、バドミントンサークルで偶然に再会した。
月田先生が結城先生と結婚した事は同級生達から聞いて知っていたけど。
周りの人達から、結城さんと呼ばれている月田先生を見て、本当にこの人は結城先生と結婚したのだと改めて突き付けられた気がした。
なんだか、周りと同じようにこの人を結城さんと呼べなくて。
かといって、旧姓で呼ぶのも躊躇われて。
だから、初めから私は美織さんと彼女を呼んでいる。
「沢田花純さん?
うわぁ、久しぶり。
今もバドミントン続けてたの?」
数年振りに会った私を見て、美織さんは嬉しそうに笑ってくれた。
「いえ。高校以来です。
なので、久しぶり。
私の事覚えてくれていたのですね?」
「もちろんよ」
私は高校の時、バドミントン部で。
顧問が、この人だった。
美織さんが私の担任になった事は無かったけど。
三年間バドミントン部だった私は、
美織さんとその間接する事が多かった。
それから、美織さんとは元々顔見知りなのもあり、急速に仲良くなって行った。
それは、あの同窓会の1ヶ月程前。
「花純ちゃん。
うちの京の事、好きだったでしょ?」
そう訊かれたのは、初めて美織さんの家に招待された時。
今日は夫は居ないからと招かれていたけど。
もしかしたら、結城先生が帰って来て、会えるのではないか?と、ドキドキとしていた。
そんな気持ちを隠していたからか、
美織さんにそう訊かれ、焦りからか言葉が出なかった。
「隠さなくてもいいから」
うふふ、と妖艶に微笑む美織さん。
とても美人だからか、それが妙に怖かった。