「affair」
「花純ちゃん、京と浮気してくれない?」
続けられた、耳を疑う言葉。
「美織さん、何言ってるんですか?
そもそも、私が結城先生を好きだなんて。
私はあの頃から清太と付き合っていたし」
「花純ちゃんが、高畑君と付き合っていたのは知ってる。
けど、あなたがずっと京を見ていた事も知ってる」
私が誰にも知られないように隠していた結城先生への思いは。
よりによって、結城先生の恋人で、現在は奥さんのこの人に知られてしまったのか。
「私ね、京の他に好きな人が居て」
そう言って、美織さんは自身の不倫について語った。
美織さんは結城先生と結婚後直ぐに、教師を辞めて。
塾の講師へと転職した。
その塾で同じように講師をしている男性と、現在は不倫関係で。
相手は独身だから、結城先生と離婚さえ出来れば、その人と晴れて再婚出来るのだと。
「ならば、正直に結城先生に話して離婚して貰えばいいじゃないですか?」
そう言うと、美織さんは困ったように笑う。
「京、私の事本当に好きだから、そのまま話しても簡単には別れてくれないだろうな」
結城先生は、美織さんが好き…。
昔、結城先生をずっと見ていた私には、それをリアルに想像出来る。
結城先生が本当に美織さんを好きなのは、高校のあの時から見ていて知っている。