門限やぶりしようよ。
 優はきょとんとしてしまった私が着ているベージュのニットを優しく脱がせた。彼の前で下着姿になったことも、理由はわからないけれどあまり抵抗はなかった。今日初めて会って話したはずなのに、彼はもう私の中で特別な存在になっていた。

「でかい……何食べたらこんなになるの?」

 あっさりとブラジャーのホックを外して肩紐を引き抜き、まろびでた私の胸をじっと見て彼は言った。今まで異性に見せたことなどなかったから、そんな感想を持たれることも予想などしてきない。

「誰かと、比べた?」

 優は間違いなくこういうことは初めてじゃない。わかってはいたものの、その誰かを匂わされると胸がチリチリと焦げるような嫌な気持ちになった。

「……誰と比べるまでもなく、でかい。俺の手にも余るんだけど。腰は細いのに、ここだけでかいのか。着痩せするタイプ……」

 コクンと静かに彼の喉は鳴った。それが聞こえるくらいの静けさの中、私の胸が駆け足を始める。走って走って追いかけても捕まらない、彼へと進む想いを追跡するかのように。

 そして、注意深い仕草で優しく触れながらじっくりと観察するようにしげしげと見ている。
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