身ごもり一夜、最後のキス~エリート外科医の切なくも激しい執愛~
私がアキくんと呼ぶ彼は日比谷暁斗くん、二十九歳の医師だ。
耳に流している深く真っ黒な髪がはらりと落ちたり、長い睫毛が揺れたり、薄く綺麗な唇が動いたりと、見ているだけでドキドキする。
「雨、冷たかっただろ。迎えに行けばよかった」
「ううん。水溜まりに入って楽しかった」
玄関が暗いまま私を中へ入れ、戻るときに電気を着けた。
あまり明るくはないぼんやりしたオレンジの光が、揃えられた革靴と、たった今彼が脱ぎ捨てたサンダルだけを照す。
ストッキングの足を長靴から抜くため、一段高くなっている玄関に座った。
アキくんはうしろから、私の肩にタオルをかける。
そこへしっとり濡れた私の髪を優しく手で鋤きながら乗せてくれる。
量の多いウェーブのロングヘアーを、バレッタでハーフアップに留めていた。
アキくんはバレッタを外してスボンのポケットに入れてしまう。
私の物をうっかりポケットに入れて、後日「ごめんね、持ってたみたい」と返してくれるのは、彼にはよくあることだ。
耳に流している深く真っ黒な髪がはらりと落ちたり、長い睫毛が揺れたり、薄く綺麗な唇が動いたりと、見ているだけでドキドキする。
「雨、冷たかっただろ。迎えに行けばよかった」
「ううん。水溜まりに入って楽しかった」
玄関が暗いまま私を中へ入れ、戻るときに電気を着けた。
あまり明るくはないぼんやりしたオレンジの光が、揃えられた革靴と、たった今彼が脱ぎ捨てたサンダルだけを照す。
ストッキングの足を長靴から抜くため、一段高くなっている玄関に座った。
アキくんはうしろから、私の肩にタオルをかける。
そこへしっとり濡れた私の髪を優しく手で鋤きながら乗せてくれる。
量の多いウェーブのロングヘアーを、バレッタでハーフアップに留めていた。
アキくんはバレッタを外してスボンのポケットに入れてしまう。
私の物をうっかりポケットに入れて、後日「ごめんね、持ってたみたい」と返してくれるのは、彼にはよくあることだ。