絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「そんなに鳴いてどうした……おお! さては、レリウスさまがブラシで皮膚を引っかけてしまったんだろう。よしよし、もう鳴かんでいいぞ。続きのブラシはわしがかけてやるからな」
 おじいちゃんは床からブラシを拾い上げると、好々爺然とした笑みを浮かべながら頓珍漢なことを言う。
 わたしは今回、レリウスさまとわかりあえていなかったことが露見して、ものすごくショックを受けた。だけど、それよりもっとおじいちゃんとわかりあえない現実に打ちのめされる。
《みゃぁあ(違うよ、わたしが言ってるのはそんなんじゃなくて……って、もういいや。続きのブラシがけ、左側をよろしくね)》
 わたしはすっかりしょげ返り、諦めと共におじいちゃんの足もとで体を丸めた。
「おー、よしよし。どうだルーナ、わしのブラッシングも極楽だろう?」
《みゃ(……そね。でも、できるだけはやく左側に移ってね)》
 左側と言ったのに、嬉々として右側にブラシをあてはじめるおじいちゃんに困憊しつつ、ため息交じりに独り言ちるのだった。

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