絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ……えぇっと。扉の下には、レリウスさまが作ってくれたわたし専用の出入口が付いている。
 だから、わざわざ開けてもらわなくても、そこから出入りできちゃうのだが……。
《みゃー(……ありがと)》
 わたしは肩を落とし、尻尾を引きずりながら、どんよりと重たい足で外に向かって歩きだした。もちろん、おトイレがしたいわけでもなかったが、今はこれ以上噛み合わないやり取りを続けるよりも、ひとりになりたい気分だった。
 ……決して、おじいちゃんが悪いわけじゃない。
 使用人のみんなとのコミュニケーションはこの程度が普通で、レリウスさまだけが特別なのだ。
 目頭がジンッと熱くなり、わたしはおじいちゃんの視線から逃げるように足を早め、慌てて木陰に入り込んだ。直後、目尻からポロリと涙がこぼれた。
《ふみゃー(会いたいよぉ、レリウスさま……)》
 そのまま少しの間、わたしは人目を忍び、レリウスさまを思って泣いた。
 ひとしきり泣き、屋敷に戻ろうと木陰を踏みだしかけたら――。
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