絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 わたしはここでレリウスさまたちが来るのを待つことに決め、人目を避けるように少し先の茂みの中に隠れた。
 しばらくすると、ふたりの男性がこちらに向かって歩いてくるのに気づく。
 ……あ、向こうから誰か来た! まさかレリウスさま……って、違うや。
 一瞬期待しかけたが、ふたりのうちひとりはグレス書記官。もうひとりは、初めて見る若い騎士だった。彼の引き締まった鋼のような体躯と、騎士服の胸に光る勲章を見るに、将来を有望される騎士であることは瞭然だった。
 なんだか今日は、グレス書記官をよく見るな。そんなことを思いながら、木の葉の隙間からふたりの姿を目で追った。
 ふたりの会話の内容までは聞こえないけれど、若い騎士は終始悲愴感の籠もる目でグレス書記官を睨みつけていた。
 ……どうして、あんな目でグレス書記官を見るんだろう?
 徐々にふたりが、茂みに近付いてくる。ふたりはわたしの存在にはまったく気づいていないようで、ひそめた声でずっと会話を続けていた。
 ついに、ふたりがわたしが身を隠す茂みの前に差しかかる。
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