絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「これまでの調査でワーグナー筆頭大臣の公金横領、領民に対する不当な徴税と賄賂の強要、これら多くの証拠を掴みながら捕縛に移らなかったのは、偏に今日という日のためだ。我ら征伐隊の目的はただひとつ、ワーグナー筆頭大臣の制圧――! 我らの手でワーグナー筆頭大臣を捕らえ、これまで奴が犯してきたすべての罪に対し、適正な裁きを受けさせるのだ!」
 騎士たちが沸き、どんどん士気が高まっているのがわかった。
「目指すはワーグナー筆頭大臣邸! 大臣の直轄地への到着は日没直後を予定、遅れを取るな! 征伐隊、出立――!!」
「ォォオオオッ――!」
 レリウスさまの声を合図に、征伐隊が出立した。
 ……なんて凛々しいんだろう。視界が遮られていても、声だけで勇ましく部隊を率いるレリウスさまの姿が鮮明に想像できた。
 わたしは荷袋の中でひとり、不謹慎にも頬を染め、ほれぼれしながら馬に揺られ……って、待てよ?
 ……さっき、レリウスさまは『到着は日没直後』って言ってなかった? ……え? それって、ヤバくない?
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