絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 戸惑いを含んだ少女の声をどこかわふわとした思いで聞きながら、その温もりと香りを感じていたら、まるで人間になったルーナを腕に抱いているような心地がした。
 ……この少女の行く末をどうするか、俺に決定権はない。だが、あの時満月から降り注いだ光は、間違いなく俺の傷を綺麗にするのに少女が発したものと同じ。それを浴びた直後に戦況が百八十度覆ったことを考えれば、この少女によって俺たち征伐隊が救われたのは瞭然で、身柄も含めすべて王であるマリウスに託すのが筋だ――。
 マリウスは、ワーグナー筆頭大臣征伐に甚大な貢献を果たした少女を、けっして悪いようにはしないはず。ひと通りの調査や聞き取りを終えた後は、俺が望めば少女の後見を買って出ることも可能だろう。
 しかし、少しの間でも離れることが納得できない。この少女を二度と手放したくないと思う自分がいた。
「このまま君を、俺の屋敷に連れて行ってしまいたい」
「ええっ!?」
「そうして君を……」
 ……俺だけのものにしたい。
 続く想いは、なんとか胸に押しとどめた。
< 202 / 252 >

この作品をシェア

pagetop