絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
《ふみゃみゃ(わわわっ、どうしたのレリウスさま?)》
「消毒だ」
《みゃーっ(え~、消毒ってなに? わたし、ばっちぃ物になんて触ってな……って、きゃぁあ~っ。くすぐった~い!)》
 ひと通りなで終えると、ルーナがどこにも行ってしまわぬようすっぽりと懐に押し込んで、キュッと抱きしめた。
《ふみゃっ(やんっ。レリウスさまったら、そんなにキュッとしたら苦しいよ?)》
 ――ギュゥッ。
 ルーナが上目遣いで訴える姿があまりにかわいらしく、ますます腕に力が籠ってしまう。
《みゅーっ(え~っっ?)》
 目を真ん丸にするルーナも、これまた別格のかわいさで、俺は鼻血が噴き出そうになるのを根性で堪えた。
「……はぁ。やれやれ」
 脇からあがった冷ややかなため息も、俺の耳を右から左に抜けていく。
 王都に向けて馬を駆りながら、俺の胸はぽかぽかと温かだった。この温かさは、きっと物理的な体温だけが理由ではない。俺の人生はルーナという伴侶を得て今後もずっと温かに、心豊かに続いていくのだろうと、そんな予感がした――。
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