絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「いいだろう。お前と家格が釣り合いそうな侯爵家か伯爵家あたりを適当に見繕い、姓を取って作成しよう。もし希望の生年月日や年齢、出生地などがあれば伝えてこい」
 明日の天気でも話すみたいな軽いノリで繰り広げられるふたりの会話に、わたしは目を白黒させた。なにせ、その内容はこれ以上驚きようなんてないと思う、さらにその上をいっているのだ。
 ひぇええ。国家権力、最強か……。
「希望は後で書面に記して知らせる。それから、別件でもう一件頼みたい。すでに報告がいっていると思うが、コリンの件だ。事情が事情ゆえ、騎士団としては今回の彼の行動を不問に付したい」
 あ。この話題……! わたしとしても、コリンの救済はぜひともお願いしたい。ちなみに、人質に取られていた妹さんは、既に見つかって無事に保護されている。王都に到着してすぐ、捜索にあたっていた騎士が早馬で伝えてきたのだ。
 妹さんのことがひと安心となれば、残る憂慮はコリンの処遇だけだ。わたしは、顎に手をあてて少し考え込むような仕草をする王様をジッと見つめ、その答えを待った。
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