絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 パパとママには口が裂けても言えないけれど、お肉を抜きにしたって、わたしがこんなふうにまともなご飯を食べるのはずいぶんと久しぶりのことだった。帰宅して倒れ込むように眠るだけの生活の中、食事に割ける時間などあろうはずもない。最近はもうずっとカロリーバーかゼリー飲料しか口にしていなかったのだ。
 目の前で温かな湯気を立てるママの料理が、涙が出そうなくらいうれしかった。
『はははっ、喜んでもらえてよかったよ』
 小さい頃からパパとママはわたしの自慢であり、憧れだった。パパみたいな旦那様を見つけて、ふたりのように温かい家庭を築きたいと夢見ていた時期もある。でも、そんな未来はきっとこない。日々の業務はあまりに過酷で、わたしには恋愛をする時間も心の余裕もないのだから。
 なにより今は、時間があったら寝ていたいというのが本音だった。願わくば次に生まれてくる時は、パパのお膝でとろけた目をしたルルみたいに、お気楽に暮らしたいものだ。
 ブラック企業に勤め、息つく間もない日常が、わたしをすっかり無気力にしていた。
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