絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 その感覚は、前世で受けたマッサージに似ている。しかも、とびきり凄腕の施術師さんに担当してもらえた時の極上のそれだ。
 レリウスさまはソファに辿り着くと深めに腰かけて、わたしを膝の上にのせる。
「最初にスプレーをするから目を瞑っておいてくれ」
《みゃー(はーい)》
 キュッとまぶたを閉じると、首の後ろから背中にグルーミングスプレーが吹き付けられる。このスプレー、とってもいい匂いがして気に入っているのだが、その効果だって抜群だ。なんでも珪藻土から抽出した天然ミネラルがたっぷりなのだとか。このスプレーの後にブラシを通してもらうとツヤツヤになれちゃうのだ。
「よし、このくらいでいいだろう。もう目を開いて大丈夫だぞ」
《みゃー(はーい)》
 レリウスさまはスプレーを置いて、大きな手にブラシを握った。そうして首の後ろの一番もふんっとしたところにブラシをあてると、毛の流れをしっかり見ながら、背中の方に向かって梳かしはじめた。
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