きみの隣にいるために(編集中)
動きはじめた恋
ある日、お隣に天使が引っ越してきた。
あれはよく晴れた日曜の午後。
インターホンが鳴った後、急いで走っていったのにも関わらず中々戻ってこない母。
その姿をリビングからじっと見つめる小学4年生の私。
母の後ろ姿で話し相手の顔はよく見えないが、聞いたことのない声がする。
多分、相手は知らない人。
時々、聞こえる母の「うふふ」という笑い声は他所いきのものだ。
何かの勧誘?
お母さんが断れないなら栞が出ていかなきゃ!なんて思っていたら、玄関の方から「しーちゃん」と私を呼ぶ声がした。
玄関の先にいるのが誰かわからないまま、恐る恐る歩みを進める。
そして、玄関にたどり着くとそこにいたのはやはり知らない女の人だった。
「娘の栞です」
母はそう言うと私の背中をポンポンと叩き、「ほらご挨拶して」そう付け加える。