きみの隣にいるために(編集中)


「成宮栞です」

言われたがまま挨拶をして、軽く会釈をする。


すると「栞ちゃん、初めまして。お隣に引っ越してきた久賀山です」そう言って目の前の女の人はにっこりと微笑んだ。


その笑顔があまりにも綺麗で私もつられて笑顔になる。


「ほら、一吹もちゃんとご挨拶して」

その言葉と同時に女の人の後ろから小さな男の子がひょっこりと顔を覗かせた。


くりくりの大きな目に長いまつ毛。
艶のある黒髪は首を傾げただけでさらりと揺れて、まるでどこかのキッズモデルみたいだ。

有名ブランドのオーバーオールもよく似合っている。

小さくてぷにぷにとした手は緊張からか、ギュッとお母さんのスカートを掴んで離さない。

「息子の一吹です。一吹も栞お姉ちゃんみたいにご挨拶しないと」

そう声をかけられても意地でもその場から動こうとしない男の子。


「ごめんなさいね、この子人見知りで。お姉ちゃんもいないから緊張しているみたい」




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