もう、離れるな 〜地味子×チャラ男の一途すぎる両片思い〜
「やあナオ!」

羽田空港まで迎えに行った俺は、到着ロビーで久々に見るケビンの顔にホッとした。

「急に来たのに、わざわざ悪りぃな」

「ほんとだよ」


そう言いながら、俺はケビンの荷物を持ってやろうとするが


「ああ、そう言うのはいいから」

「え?」

「自分でできることは自分でする。だから、今日からお前は、お前にしかできないことをしてくれよ」

と言いながら、TOKYOとデカデカ書かれた表紙の本を見せてきた。


「お前にしかできないこと、1つ目だ」

「え?」

「この中で、1番うまいものの店に連れて行け」

「……え?」

「わかるだろ、だってお前、ジャパニーズなんだから」

「ええ……」


確かに、日本人ではあるが。


「俺……知らない……」

「は?知らない?自分が住んでる街のことなのに?」


そう言ってケビンは、不思議そうな顔で俺を見る。

そう。ケビンというのはそういう奴。

そして俺は、ケビンと話す度にいつも自分を情けないと思ってしまう。


いかに自分が、何も知らないで生きることを許されてきたのか、を思い知るから。


「んじゃま、行こうか」

適当にガイドブックを流し見したケビンは


「俺が食べたいと思ったところに決める!それでいいな?」


と、ニコニコしながら言った。

その言葉の節々に「文句は言うなよ」と言いたげな圧はしっかり感じとった。
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