俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 二人で芝居を観た後は、食事をして、彼女にネックレスのプレゼントをして、という流れになっている。それもこれも優秀な使用人であるイアンの仕業。食事をするレストランも決められていて「カリッド様のお名前で予約してあります」と言われてしまう始末。優秀過ぎて根回しが良すぎて逆に怖いくらいだが、カリッド一人では彼女とどこに行って何をしたらいいかさえもさっぱりわからない。

 劇場でイアンが手配したチケットを見せると、どうやらボックス席らしい。オペラグラス片手にその席へと向かう。

「うわー、すごいですね。高いし広いし。劇場ってこうなっているんですね。ですが、あそこが死角になっていますから、あの場所に敵が隠れていたらわかりませんね」

「敵ってなんだ?」

「え、と。賊とか?」

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