俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ

3.

 カリッドがイアンの部屋から戻ると、モニカがちょうど風呂から上がったところだった。昨日と同じガウン姿。何も期待していなかった、と言ったら嘘になる。昨日の少し布地面積が少ないと表現されたあの夜着を身につけてくれているんじゃないかな、というほのかな期待がなかったわけではない。

「あ、リディ。お風呂あがりました」

 タオルでぽんぽんと髪の毛を拭いているモニカをずっと見ていたい気持ちになるのが不思議だった。そう、ずっと彼女を愛でていたい。

「俺も、風呂に入ってくる」

 高まる鼓動を落ち着かせるかのようにそう言葉を放ったカリッドは、浴室へとその姿を消した。そして、壁に手をついで項垂れる。
 とにかく、モニカが可愛い。可愛すぎてやばい。しかも自分の恋人になったという、その事実。
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