俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 一度己を制してから、風呂からあがった。
 カリッドを見つけたモニカは笑いかけてくる。その顔を見るだけでカリッドの胸は苦しいくらいに締め付けられた。

 ソファに座っていた彼女の隣に、カリッドも腰を落ち着ける。
「とりあえず、明日のことだが」
 何か真面目な話をしないと、またカリッドのカリッドが目覚めてしまう。モニカはそんなカリッドに気付くわけも無く、彼の話を黙って聞いていた。恋人でありながら恋人の振りをする明日のイベント。

「わかりました」
 カリッドの話を聞き終えたモニカは、じっとカリッドの顔を見ていた。

「どうか、したか?」

「あ、いえ。ま、その」
 と、何かモニカは非常に言いにくそうだ。

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