俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 このままではいけないと思った当時の国王、つまりカリッドの父親が、どこかにカリッドが受け入れられるような女性がいないかな、と探していたときに聞きつけたのが、リヴァージュの民の長の娘。その娘はリヴァージュの女性が行うような染物には手を出さず、父親や兄と共に狩りを行っていて、男の子のようにしなやかな女の子と聞いていたため、あまり女性らしくない異性であれば、カリッドも受け入れてくれるのではないかと考えたためだ。
 それでリヴァージュの族長に話を持ち掛け、娘も自分より強い男で無ければ嫌だと言っていたから、ちょうどいい話だと意気投合。ところが二人を引き合わせてみたところ、カリッドが「無理だ」とモニカに言い放ったという顛末。

「モ、モニカ。その、十五年前の話だが。その、君が、可愛くないとか、女じゃないとか、そう思ったから無理だとか、そういったことではなくて。俺にとっては、その、目の前にいた君も一人の女性だったんだ」
 多分、と心の中で付け加えるカリッド。
 そんな言い訳のような言葉を並べる彼をじーっと冷たい目で見つめるモニカと、二人の仲を冷や冷やと眺める前国王と、あらあらと楽しそうに見つめる前王妃。
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