俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 なんとも表現し難い微妙な空気が、しんみりと流れている。

「モニカっ」
 バン、と勢いよくその扉が開かれた。あまりにも勢いよく開かれたため、反動で戻ってきてしまうのではないか、というほど。

「お、お父さま」
 そこに現れた人物を見て、モニカは思わず立ち上がってしまった。
「リディ坊と結婚する、というのは、本当か」
 そう、扉を勢いよく開けてこの部屋へとやってきたのはあのリヴァージュの民をまとめている長であり、モニカの父親。

「え、な、なんで?」
 モニカとしては、なぜ父親がこの場に現れたのかがわからなかった。

「私がお呼びしました」
 どこから現れたのか、カリッドの優秀な部下で優秀な使用人であるイアンが言う。
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