俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 たまにやってくるらしいこの迷い人。元の世界に戻る者もいるらしいのだが、今回の迷い人はその気はないようだ。王宮に保護されてぐうたら過ごしたいと言っていた。
 迷い人の知能は高いため、迷い人ということだけで保護の対象となる。それもぐうたら生活を送ることのできる理由の一つだ。

『前例が無いからできないなんて言うのは、言い訳。前例が無いからこそやるんでしょ。いいじゃん、あんたそこそこいい身分の人なんだし、あんたから始めれば周りもついてくよ』

 ぐうたら生活を送っている迷い人だが、カリッドが知恵を借りようとすると、わりとまともな答えが返ってきた。そして今、モニカはその迷い人が言っていた産休という制度で、まさしく仕事を休み始めた頃だ。だから出産後は、産前と同じ護衛騎士隊に戻ることになっていた。

「この子の服とか玩具とか、いろいろと」

 カリッドのそれを聞いたモニカは盛大ため息をついた。

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